小田順子からのメッセージ(あとがき)

文化庁に潜入?!

「初めまして。」

文化庁国語課の国語調査官からメールをいただいたのは、2018(平成30)年3月のことでした。当時、文化庁所管の文化審議会国語分科会では、「これからの公用文の在り方」が検討課題として挙げられていました。国語課で、その準備を進める中で、拙著『誰も教えてくれなかった公務員の文章・メール術』(学陽書房)をお読みいただいたとのこと。公用文について話を聞かせてほしい、という趣旨の連絡でした。

9月7日(金)、私は文化庁にいました。文化審議会国語分科会の、国語課題小委員会に参加するためです。私の「元公務員」「広報の専門家」「社会人になっても言語の研究を続けている」という経歴や著書により、なんとも恐れ多いことに、「有識者」として招へいされたのです。

……と言っても、実際のところは、「変なことを言っている人がいる!」と認識されたのかもしれません。「変なこと」というのは、拙著にも書いた「公用文と広報文は別物だから、書き換えが必要」「広報文は長くても1文65字以内で書くべき」「標題に「~について」を使うのは禁止!」などの持論のことです。それがどういうことなのか、文化庁で説明をしてきました。

「ガチ」の議論が始まった

文化庁は、常用漢字表をはじめとする国語施策のテクニカルな部分を担っています。しかし、内閣告示といった形で、それらのルールを各府省に示しているのは内閣官房です。文化審議会国語分科会で審議しても、その成果が内閣官房によって取り上げられ、国全体の問題として扱われない限り、国民に認知されず、埋もれてしまう可能性もあります。

つまり、今回の公用文に関する議論は、「落としどころ」が決まっていなかったのです。国語課題小委員会主査の沖森卓也氏(立教大学名誉教授)も、会議の冒頭で、次のように発言なさっていました。

公用文というのは,御承知のように,各省庁の立場とか考え方を十分に踏まえて,調整していかなければいけないということになります。

そういうことですので,既に敷かれたレールの上を走るというのではなくて,レールを点検しながら走っていくとか,あるいは,レールを新たに敷いて走っていくという,こういうことになるかと思います。

終着点がどこにあるのか,私にはまるっきり見当が付かないのですが,皆様のお力添えをよろしくお願いしたいと思います。

──国の会議体で、行き先が決まっていないなんて! これは「ガチの議論」です。なんともワクワクするではないですか。

公式文章のニューノーマル?!

有識者としてお話をさせていただいた後も、国語分科会、国語課題小委員会を毎回のように傍聴してきました。そんな中で、会の終了後に呼び止められ、意見を求められることもありました。それに気をよくして、厚かましくも、質問や意見をメールでお送りしたことは数え切れません。私は、まるで議論に伴走してきたような気分でいます。

この3年間、深く、それでいて温かい議論が交わされてきました。その結果、すばらしい報告書が完成しました。これは、公用文だけではなく、社会一般の公式文章のルール――「公式文章のニューノーマル」ともいえるものではないかと思っています。それを一人でも多くの人にお伝えしたくて、この本を書きました。どうか、この本を手に取ってくださった、あなたのお役に立てますように!

2021年4月
小田 順子

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  • 府省庁の職員の方
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  • 国や自治体と、仕事上の文書のやり取りをする方
  • 公式文書の書き方のルールを知りたい方